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老後資金2,000万円はウソ?ホント?
「老後資金には2,000万円が必要」という説が話題になった時期がありました。本当に2,000万円で足りるのか、もっと少ない金額でも足りるのではいか、など、人によってさまざまな感想をお持ちのことでしょう。
実際には、年金の種類や、持ち家があるか賃貸住まいかなどで、老後資金の目安は大きく変わります。
この記事では、4つのモデルケースを用意し、必要な老後資金のシミュレーションを行いました。ぜひ、参考にしてみてください。
老後資金の目安を計算するときに確認するべきこと
老後資金について考えるとき、まずは次の項目について確認しましょう。
・年金の支給額
・貯金額
・生活費の出費
・生活費以外の出費
それぞれについて、詳しく説明します。
年金の支給額
年金は老後の主な収入源ですが、国民年金と厚生年金のどちらが支給されるかで金額は大きく異なります。
2019年の厚生労働省の発表では、それぞれの平均支給額は以下のとおりでした。
・老齢基礎年金(国民年金):月額5万6,049円
・老齢厚生年金(厚生年金):月額14万6,162円
年金の支給額は人によって違いがあり、こちらの数字は平均となりますので、あくまで目安として考えてください。
ただ、これだけ支給額に違いがあると、老後の資金計画が大きく変わってくるのは、間違いありません。年金の支給額を把握しておくことはとても重要であることは、お分かりいただけたのではないでしょうか。
貯金額
定年退職を迎える頃、貯金額はいくらになっているでしょうか。
定年の予定日から逆算して、月々の給料やボーナスからいくら貯金できるのかを見積もってみましょう。また、退職金は老後の大きな資金になりますから、確認しておいてください。
生活費の出費
総務省統計局による「家計調査報告(2019年)」では、単身無職世帯が1か月にかかる生活費の平均は15万1,800円となっています。
ただ、この調査では住居費の支出が1万4,500円と、持ち家であることが前提となっているため、賃貸暮らしの場合はもっと多めに見積もることになるでしょう。
総務省が調査した「住宅・土地統計調査(2018年)」では、借家の1か月あたり家賃は、約5万6,000 円です。このことを考慮すると、単身無職世帯の方が賃貸で暮らす場合、1か月の生活費の目安は19万3,300円ということになります。
生活費以外の出費
老後は、生活費以外にもさまざまな出費があります。特に重要なのが、以下の項目です。
・介護費用
・お墓、葬儀費用
・死後事務委任契約の費用
介護費用
まずは介護費用についてです。
生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、介護費用の月額平均は8万3,000円で、介護期間は平均で約61か月でした。月額費用の総額を計算してみると、506万円ほどになります。
さらに、月額費用とは別に、介護にかかった一時的な出費は平均で74万円となっています。月額費用と合わせると580万円で、これを介護費用の目安とすれば良いでしょう。
お墓、葬儀費用
お墓の情報サイト「いいお墓」が実施した「お墓の消費者全国実態調査(2021年)」によると、お墓の平均購入価格は169万円でした。また、1番多い価格帯は80万~119万円です。
葬儀費用については、一般的なものであれば平均で200万円程度が相場と言われていますが、おひとりさまであれば小規模な葬儀を希望される方も多いでしょう。その場合、通夜のない一日葬では30万~50万円、通夜も告別式もない火葬のみの直葬では15万~25万円程度が相場となります。
死後事務委任契約の費用
おひとりさまだと、死後の事務処理について心配がある方もいらっしゃるでしょう。この問題は、行政書士や弁護士などの法律の専門家と「死後事務委任契約」を結んでおけば解決できます。
死後事務委任契約とは、死後の行政手続きや葬儀の手配など、死後に必要な一連の手続き・連絡を代行してもらえるという契約です。死後事務委任契約はその契約内容によっても大きく変動しますが、大まかな相場費用は50~100万円ほどでしょう。
死後事務委任契約についてもっと詳しく知りたいという方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。▼
まとめると、生活費以外の出費は以下のとおりとなります。
・介護費用:580万円程度
・お墓、葬儀費用:15~50万円
・死後事務委任契約の費用:50~100万円
合計すると、最低でも650万円ほどは見積もっておいた方がいいと言えます。
4つのモデルケースで老後資金について知る
ここからは、4つのモデルケースに沿って、老後資金がどのくらい必要かを確認してみましょう。
モデルケースは、以下の4つです。
1.持ち家・厚生年金の場合
2.持ち家・国民年金の場合
3.賃貸・厚生年金の場合
4.賃貸・国民年金の場合
65歳で定年退職をして年金の受給を開始し、老後の生活が30年あるものと仮定します。年金や生活費などの金額は、前述した平均額をもとに算出しています。
ケース1. 持ち家・厚生年金の場合
収入である厚生年金と支出である生活費の差額は約5,600円で、貯金から取り崩す部分となります。(5,600円 ✕ 12か月 ✕ 30年)と計算すると、貯金から生活費を取り崩す総額は約200万円です。
さらに介護費用などの650万を合算すると、700万円以上は老後資金として備えておいた方がいいでしょう。
ケース2. 持ち家・国民年金の場合
持ち家で国民年金の場合、毎月の生活費の不足分は9万5,700円ほどです。これが30年続くと、3,400万円以上が不足します。
介護費用などを合算すると、4,000万円ほどの老後資金が必要です。持ち家があるとはいえ、大きな金額の備えが必要であることが分かります。
ケース3. 賃貸・厚生年金の場合
賃貸住まいは生活費がアップします。厚生年金の場合は、毎月の支出との差額が約4万7,100円になり、30年の合計は1,700万円ほどです。
介護費用なども含めると、2,300万円ほどの老後資金を見積もっておいた方がいいでしょう。
ケース4. 賃貸・国民年金の場合
賃貸住まいで国民年金の方は、老後資金が最も必要です。毎月の収入と支出の差額は約13万7,200円で、30年で考えると5,000万円ほどになります。
生活費以外の費用を合わせると、5,600万円以上が必要という計算になります。賃貸の費用がかからないよう、中古マンションなどを購入しておくことも1つの手です。
まずは日々の収支の見直しから
モデルケースを4つご用意し、老後資金の目安についてお伝えしました。覚えておきたいのは、年金の種類と持ち家があるか賃貸住まいかで、必要な老後資金が大きく違うことです。
大きな金額で実感がないかもしれませんが、まずは日々の収入と支出を見直し、もっと貯金できる余地がないかを確認してみましょう。しっかりと貯金ができてきたら、投資をしてお金の増やし方を加速させていくこともおすすめです。
テラスライフでは、財産管理や相続についてのご相談や、死後事務委任契約の締結など、お客様のお悩みやお困り事の解決を、広く承っております。豊富な専門知識を持ったスタッフがしっかりとお話を伺い、お客様のご希望を叶える適切な制度のご紹介や、必要なサポートを行わせていただきますので、いつでもお気軽にお電話ください。
もちろん、ご相談・お見積りは無料です。
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(監修:行政書士・尾形達也)
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