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2022年9月2日
不動産の相続でトラブル!?| 他人事ではない問題を回避するために…

不動産の相続でよくあるトラブルとは!? どうすればトラブルを回避できるの?

 

実家などの不動産の相続でトラブルになることは、決して他人事ではありません。相続によるトラブルは近年増加傾向にあり、裁判所での相談・調停・審査件数も年々数が増えています。「うちには財産がないから揉めることはない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし実際のところはそうとも限りません。

令和3年の最高裁判所の司法統計では「家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件のうち認容・調停成立件数」のうち、相続資産が1,000万円以下の案件が33%、5,000万円以下の案件が44%です。これらを現金だけではなく土地や不動産も遺産額に換算した場合の数字と考えると、裁判所に持ち込まれる相続トラブルの半数以上が、ごく一般的な資産規模の家庭で起きていることがわかります。
【参照:最高裁判所 司法統計 令和3年 司法統計年報(家事編)】

 

相続資産が不動産のみの場合の方が、一般的にはトラブルに発展することが多い傾向にあります。相続した実家の家屋を、売却したいと考える子どももいるでしょうし、思い出がある家を手放したくないという子どももいるため、相続人同士で意見が分かれてしまうのです。また、実家の土地を等分に区切って分割することが、実際にはなかなか困難であることも原因の一つでしょう。

他にも、不動産を相続する際に発生するトラブルには様々なものがあります。この記事ではそれらのいくつかの事例を紹介し、そのトラブルを解決、あるいは回避する手段について解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

 

 

不動産の相続人同士でトラブルになるケース

法定相続人全員で遺産の分割について話し合うことを、「遺産分割協議」と言います。実際に全員が集まれない場合にはそれぞれ手続きが必要なほど、「全員が納得した」という事実が大切になってくる話し合いです。そのため、相続人が増えるほど協議は難航し、トラブルも多くなります。ここでは遺産分割協議が白紙になってしまった事例について紹介します。

 

事例①『見知らぬ兄弟』

ある男性が父親の遺産の相続について、相続人同士で遺産分割協議を進めていると、突然、亡き父が密かに認知していた子どもが名乗り出てきました。その人物は父が若い頃に一度結婚し、離婚していた配偶者との間に産まれた子どもでしたが、二人目の配偶者の子である男性は存在さえ知らされていませんでした。そして、新たな法定相続人が現れたことにより、せっかくまとまりかけていた遺産分割協議が白紙に戻ってしまいました。

 

トラブル回避方法

再婚している場合や、明らかに愛人が存在する可能性がある場合は、ご両親がお元気なうちに事実を確認し、把握しておくことが大切です。
ただ、実際に顔を合わせてとなると、その手の話題は話し難いという方もいらっしゃるでしょう。
そんな時にもっとも有効な解決策は、ご両親に遺言書を書いてもらうことです。遺言書ならば、ご家族と顔を合わせることなく、書面にて事実をありのまま伝えることができるので、ご両親としてもいくらか気が楽なはずです。また、遺言書で遺産分割に関する遺志を明確にできていれば、もしも見知らぬ法定相続人が増えたとしても、大きな相続のトラブルに繋がる可能性は低いかも知れません。

 

 

相続不動産を平等に分けようとするケース

仲のよい兄弟姉妹の関係でも、相続不動産でトラブルになるケースがあります。それは平等に相続不動産を分割しようとして、かえって話し合いが難航したり、意見の食い違いから問題が生じる場合などです。ここでは、そのケースについて紹介します。

 

事例②『本当に等分できる分割方法とは』

なんでも等分にしてきた双子の兄弟が、お互い損得のないよう平等に相続不動産を分割しようとしました。しかし、調べてみると相続不動産を平等に分割する方法が複数あることがわかりました。双子の弟は相続不動産を売却し、そこで得た金額を2人で等分したいと考えました。しかし兄のほうは実家の建物に思い入れが強く、自分が不動産を相続し、もしその家を売却した場合の総額の半分を、弟に支払いたいと希望しました。兄の希望は、弟にとっては等分とは思えなかったため、話し合いを続けた結果、結局2人は実家の不動産を共有で管理することにしました。

 

解説

不動産を分割するには、「換価分割」「現物分割」「代償分割」「共有」の4つの方法があります。
相続不動産を平等に分割しようとした場合、もっとも適しているのは弟が希望した「換価分割」だと言えるでしょう。

換価分割」とは相続不動産を売却し、売却等にかかった諸経費を差し引いた売却金を相続人で分配する方法を言います。この方法であれば、売却した金額を兄弟の人数できれいに分けられるので、金額の差が発生せず、そのためトラブルも起こり難いと考えられます。
ただし、不動産は売却してしまうことになるため、今回の事例の兄のように、相続人の中に対象の不動産へ対する愛着がある方がいらっしゃった場合は、それを理由に拒否される可能性があります。

 

対象の不動産に人一倍思い入れがあるなど、売却したくない方がいらっしゃる場合は、やはり兄の希望した「代償分割」がおすすめです。
代償分割」は相続人のうち1人が対象の不動産を相続する代わりに、その相続人が他の相続人に対して、代償を支払う分割方法です。多くの場合は相続不動産を換価した場合の金額を仮定して、他の相続人が受け取るはずだった金額を、不動産を相続する相続人が支払うという形です。

 

また、現物をそのまま相続するためには、「現物分割」も有効です。

現物分割」は、相続不動産や土地を、相続人の数で等分し、それぞれ相続する方法です。特に遺産に広めの土地が含まれている場合はこちらの方法で分割しても、それぞれ十分な遺産を得ることができるでしょう。
しかしながら、遺産が不動産だけの場合は分け方が非常に難しくなるため、最初から平等な分け方を諦めるなどの注意が必要です。
また、数人の相続人で分けた結果、土地が極端に狭くなってしまうなどして、土地の有効利用ができなくなる可能性もあります。その結果、相続後の土地の評価額が下がることもあるかも知れません。

 

ここまでの3つの方法の中から分割方法を選べない、あるいは決め手がないという方の多くは、事例に出てきた双子同様、「共有」という手段を選ぶことになるかも知れません。これはそのまま、相続不動産を相続人で共有の持ち物とする方法です。

しかし、不動産の「共有」にはデメリットも多く、おすすめはしません。「共有」をしてしまうと、その不動産に手を加えたいと思った際、その規模などによっては所有者全員、または共有持分の過半数の同意が必要になってしまうからです。

例えば、相続した不動産の維持・管理のための軽微な修繕などは、いずれかの所有者単独の判断で行うことができます。しかし、もしその不動産を賃貸物件として貸し出したいなどと考えた場合、短期間の賃貸借ならば共有持分の過半数に値する所有者の、長期間ならば所有者全員の許諾を得なければなりませんし、建物自体の価値を大幅に変えてしまうような大規模な増改築や売却などについては、原則所有者全員の同意が必要となります。

また、固定資産税の納付の際、相続税の納税通知書は共有名義人の代表者へ送付されるため、共有名義人の代表者は、他の名義人から納税金額を集めなければなりません。
同意も集金もスムーズに進めば多少手間がかかるだけですが、そうではない場合、この「共有」が原因で新たなるご親族間トラブルが発生する可能性もあります。

相続不動産の代表的な分割方法は上記の4つです。相続不動産を分割する必要が発生した場合は、それぞれの分割方法のメリット・デメリットを考え、時には専門家に相談するなどし、もっとも自分たちの相続に合った分割際の方法を選ぶことが大切です。

 

 

遺言書に不備があったケース

相続トラブルの防止にもっとも効果があるのは、ずばり遺言書の作成です。明確に故人様の遺志を示すことにより、残された相続人たちが協議すべきことを減らし、結果的にトラブルの機会をなくすことができるからです。
ところが、なかにはこの遺言書がトラブルの原因になることもあります。ここでは遺言書のトラブルについて紹介します。

 

事例③『なんでも自分でやりたがった母の遺言書』

ある女性が自筆証書遺言を遺して亡くなりました。女性の子どもである三姉妹のうち、家出同然で飛び出した長女と三女には遺産を残さず、ずっと一緒に暮らしてきた次女に全額遺すという内容でした。母親の葬儀のために戻ってきた長女と三女は、遺留分の侵害だと次女を責めましたが、よく確認したところ女性の用意した自筆証書遺言は残念ながら要件を満たしておらず、遺言は法的に無効となってしまいました。

 

回避方法

基本的に遺言書は、いくつかの要件を満たしていなければ、法的な効力を発揮しません。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」があり、自筆証書遺言は本人が書くため、要件を満たしていないなどの不備があり、しばしば法的に無効になってしまうトラブルが発生します。
せっかく書いた遺言書が無効になってしまう…この事例のようなトラブルを回避するためにもっとも有効なのは、遺言書を「公正証書遺言」として作成することです。
「公正証書遺言」は、公証役場で公証人が作成してくれる遺言書です。専門家である公証人が作成してくれるため、こちらは要件の不備を理由に無効になってしまうことは殆どありません。
また、改ざんや紛失の対策としても、作成した後は公証役場にて保管してくれる「公正証書遺言」であれば安心安全と言えるでしょう。

ただ、上記の事例で遺言書が法的に有効だった場合でも、残念ながら長女や三女による遺留分侵害額請求を回避することはできません。

相続においては遺言書による財産分割が優先されます。そのため、お世話になった人に相続させたり、第三者に全額遺贈したりすることも可能です。しかし、同時に法定相続人の受け取ることのできる遺産がゼロになることを防ぐため、民法で故人様の配偶者や子どもには「遺留分」が保障されています。つまり、いくら故人様の遺志(遺言)に基づく分割とは言え、これを侵害すれば法定相続人に、遺留分侵害額請求をされてしまう可能性もあるということです。

では、この場合はどうすればよかったのでしょうか。
それは、遺言書を作成する時点で、一度専門家に相談するというのが、最適な方法だったと考えられます。親身になってくれる専門家であれば、法定相続人の遺留分に配慮していない遺言書の作成を相談した場合、相続後に発生するかも知れない遺留分侵害額請求の可能性も教えてくれますし、場合によってはもっとご希望に添える分割の方法なども提案してくれます。申請などを代行してもらい、公正証書遺言を作成すれば、執行時に無効になることもまずないでしょう。

その他にも、相続後に遺留分侵害額請求をされないようにするためには、お元気なうちから相続の分割について、ご家族とよく話し合っておくことなども、有効な手段の一つです。

 

 

相続トラブルを発生させないためには遺言書のご用意を

実家などの不動産の相続に限らず、相続トラブルでもっとも有効な回避方法・防止対策は遺言書です。知識のある専門家と相談しながら、しっかりと要件を満たした「公正証書遺言」を作成することで、多くの相続トラブルは未然に防ぐことが可能です。

テラスライフでは、お客様のご意向に応じた遺言書の作成手続きをしています。専門家が親身になってお話しを伺い、丁寧かつ迅速な対応で、お客様の理想の遺言書を作成するべくサポートさせていただきます。ご相談は何度でも無料ですので、少しでも遺言書の作成にご興味を持たれた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。いつでもお待ちしています!

 

テラスライフ 045-370-7085

 

遺言書についてもっと詳しくお知りになりたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

なぜ遺言書を作成したほうがいいのか|遺言書に書いて法的効力を発揮すること・しないこと

公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

遺言書がない場合にありがちなトラブル

 

 

(監修:行政書士・尾形達也)

 

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